====== Lenovo Chromebook S330 ======
===== 概要 =====
Lenovo Chromebook S330は、クラムシェル型のChromebookである。
14インチのHD液晶、ASCII配列のキーボードを持ち、eMMC 32GBまたは64GBのモデルがある。
外部IFはUSB C(PD対応)、USB A(USB3.0)、HDMI、SDカードスロット(SDカードが半分くらいはみ出す)、およびφ3.5ステレオミニジャックである。
2025年6月までのOSアップグレード保証がついている。
液晶はタッチパネルではないので、タッチパッドとキーボードでの操作となるため、ゲームなど一部のAndroidアプリでは操作に問題があるかもしれない。
{{:s330:chromebooks330.jpg?400|Chromebook S330}}
アプリケーションにWindows専用などの縛りがなければ、廉価なPCとしてはアリではないかと思う。
===== 設定 =====
==== シェルフに入力オプションを表示 ====
[CTRL]+[SPC]によるIME切り替えをサポートしてないLinuxターミナルでのIME切り替えや、Andoridアプリなどのように、テキストエリアでの右クリックによる絵文字入力をサポートしてない状況での絵文字入力のために、「シェルフに入力オプションを表示」をONにしておく必要があります。
{{:s330:シェルフに入力オプションを表示.png?400|シェルフに入力オプションを表示}}
設定画面で上記のスイッチをONにすると、タスクバーの右端のグループの中にあった(US)やら(あ)やらの表示が独立したパーツになり、ここをクリックすることで、入力切替や絵文字入力などの機能を選択できるようになります。
{{:s330:入力オプション選択.png?400|入力オプションを選択中}}
==== SDカードを活用する ====
スマホ同様、Chromebookのストレージは決して大きくはない。((値段の高い製品にはたっぷりとしたストレージを有するものもある。これまたスマホ同様であるが。))
なので、外部メモリーを有効活用する必要がある。
=== JetDrive Lite 360 ===
S330のSDカードスロットは、SDカードをマウントすると、SDカードの半分ほどが外に露出する。
プッシュイジェクトの機構を持たないスロットなので、挿抜を考えれば悪くないデザインだが、SDカードを記憶領域の拡張用として常時マウントしておきたい場合には具合が悪い。
MacBookのSDカードスロットも同様の仕様となっているようで、SDカードの半ばがはみ出すために、これを解決する商品が、Transcendから販売されている。
[[https://amzn.to/32gLvi4|JetDrive Lite]]シリーズがそれで、MacBookの型番によって130、330、350、そして360の4つのサイズのカードがラインナップされている。
S330は実測で18mmほどの奥行きがあるのが望ましいが、330が17mm、そして360が19mmと丁度いいのがない。
1mmほど飛び出すことになるが、360を利用するのがいいだろう。
360は128GBと256GBがラインナップされているので、用途に合わせて買うといいだろう。
{{::s330:jetdrive360.jpg?400|JetDrive Lite 360}}
{{::s330:jetdrivelite360ons330.jpg?400|S330にJetDrive Lite 360をマウントした状態}}
=== 設定変更 ===
ChromebookにおけるSDカードの活用方法としては、次の3つがある。
* 作成した文書や写真などのファイルを保管する。
* Chromeのダウンロード場所として使用する。
* アプリケーションのデータの保存用として使用する。
最初のものは勝手に自分でファイルを置くだけなので特に設定などは必要ない。
残り2つは設定が必要となる。
== Chromeのダウンロード場所として使用 ==
Chromeのダウンロード場所は、Chromeのメニューから設定を開き、詳細設定からダウンロードを選ぶか、chrome://settings/downloads
から変更する。
{{::s330:chromeconfigdownload.png?400|Chromeのダウンロードの設定}}
保存先として、SDカード上の適当なフォルダーを指定すれば良い。
ここではSDカードにDownloadsというフォルダーを作ってそこを保存先にしている。
== アプリケーションのデータの保存用として使用 ==
アプリケーションがSDカードを認識できるようにするために、ChromeOSの設定から、デバイス→ストレージ管理→外部ストレージの設定 へ移動し、SDカードの横にあるスイッチをONにする。
{{::s330:externalstragechromsos.png?400|外部ストレージの設定}}
以後、各アプリがSDカードを認識可能となるので、アプリの設定で、SDカードを利用するように指定すれば良い。
以下の例では、KindleアプリがSDカードを使うように指定している。
{{::s330:kindleusesdcard.png?400|kindleでSDカードを使用するようにする。}}
== Linuxと共有する ==
SDカードをLinux側からアクセスするには、ファイルアプリから、「Linuxと共有」を指定する必要がある。
{{::s330:sharewithlinux.png?400|Linuxと共有する}}
共有されたフォルダーは、
/mnt/chromeos/removable/...
からアクセス可能になる。
===== 印象 =====
==== キーボード ====
S330はUS配列のキーボードだが、ストロークが浅くカチャカチャと音がするやや安っぽい打鍵感であるが、タイプに問題はない。
左端のキーがやや大きく、無駄な感じがあるが、致命的なものではない。
最上段はファンクションキーではなく、機能が割り当てられているが、ファンクションキーとして使用することもできる。
このあたりは、Surface シリーズに近いかもしれない。
キーバインドは基本的には割当を変更できない。
検索キーやCTRLなど一部のキーに関しては設定で割当を変更できる。
Aの左隣にある検索キーはCTRLに割り当てて使用している。
検索は、ランチャーの呼び出しも兼ねており、何らかのキーに割り付けておくほうがいいかもしれないが、タスクバーからも呼び出せるので割り当ててなくても困ることはない。
日本語入力に際して、F6~F9のキーを多用する人には、デフォルトで最上段がファンクションキーではないのは困るかもしれないが、CTRL+U,I,O,Pを使用している人には大した問題ではないかもしれない。
キートップに刻印はないが、ALT+BSでDEL相当の動作になる。
==== タッチパッド ====
タッチパッドは感度なども含めて良好である。
一本指でのタップで左クリック、二本指のタップで右クリックになる。((Windowsの一般的な割り当てと同様である。))
二本指での上下のスクロール操作がWindowsと逆になっているので、必要に応じて割当を変える必要があるだろう。
==== ディスプレイ ====
14インチなので、サイズ的には十分な大きさがある。
表面はノングレア処理されていて、今どきの液晶モニターに比べてやや発色が悪い感がある。
HD解像度なので、十分だとは思われるが、昨今の高精細なモニターに比べるとややDPIが低いと言わざるを得ない。
視野角はそれほど広くもないが特筆するほど狭くもない。
==== バッテリー ====
バッテリーライフは非常に長いと言える。
数時間くらいの連続使用ではバッテリーはあまり減らないので、一日連続使用しても、十分に耐えられるのではないかと思われる。
充電は、USB PDで行うことができるので、モバイルバッテリーで運用することも可能だろう。
==== アプリケーション ====
=== Linux ===
設定でLinuxをONにすると、Debianが使用可能になる。
X Windowも使用できるので、多くの Linuxアプリが使用できるものと思われる。
ただし、CPUは決してパワフルではないので、正直、パフォーマンスが必要なアプリの場合には、あまり期待はしないほうがいいだろう。
== Pyxel ==
[[https://github.com/kitao/pyxel|Pyxel]] で遊んでみようと思ったのだが、pip で普通にインストールしたものは動かない。
インストールされる libpyxelcore.soがx86_64用だからだ。
下記の手順でGitHubから持ってきたソースをビルドすれば、ARM版のChromeOSでも動かせると思ったのだが……
$ git clone https://github.com/kitao/pyxel.git
$ cd pyxel
$ make -C pyxel/core clean all
$ pip install .
バイナリは生成される。
しかし、生成される libpyxelcore.so は、stdc++fs関連の問題を持っている。
なぜなら、debian Busterのgccは8で、Pyxelの再構築にはgcc-9以降が必要だからだ。
Ubuntu 20.4LTSなどのディストリビューションを使えば構築は可能なので、Raspberry Piなどで環境を用意してトライしてみるのもいいかもしれない。
なお、Linuxの場合は、SDLがALSAのサウンドドライバを要求するので、この対応もして置かなければならない。
=== MS Office ===
Android版のOfficeアプリが使えるが、Office365のサブスクリプションがないと、ビュワーとしてしか機能しない。
編集や保存などは、サブスクリプションが必要となる。
=== メイラ ===
GMailは、Chromeのタブの一つとして開かれる。
GMail以外のメールについては、Android版の何がしかのメイラまたは、Linux版、さもなくばウェブメイラを使うことになる。
私は自宅のメールサーバに、ウェブメイラを導入してあるので、それを使えばいいのだが、何らかのローカルのアプリも試してみたいと思い、昔使っていた、SylpheedをLinux上にインストールしてみた。
== Sylpheed ==
Linux上で、aptを使って導入する。
$ sudo apt install sylpheed -y
正直言って、未だに、MHを前提とした設計で古臭いと言わざるを得ない。
アドレス帳も、CSVを取り込むことができるとはいえ、オンラインのOutlookなりGMailなりの連絡先と連絡できないようでは使い勝手が悪すぎてどうにもならない。
更に、IMAP4で、メールを一気に全部持ってこようとするので、初回起動時が遅くてどうにもならないうえに、ストレージもどれだけ食われるかわからないので正直Chromebook向きとは言えない。
ウェブメイラのほうがずっとマシだという印象。
=== DVD・BD再生 ===
標準ではできないらしい((つまりは非標準ならできる。Linux側でVLCなどDVDを再生できるアプリを導入してしまえばいい。ただBDに関しては多分、Linux上でも無理っぽい。鍵の関係。))。
オンラインの動画サービス(YouTube, Amazon Prime Video, TVerなど)は問題なく利用できているだけにちょっと残念。