目次

デジタルRGBをVGAモニタに出力したい

概要

PC-6001mkII以降には15色表示のデジタルRGB出力があり、専用モニターに接続することで鮮明な像を得ることができる。 エミュレータであれば、既に鮮明な画面表示を得ているので、必要性は低いが、折角ある機能を活用したいと思う。

流石に、専用モニターを入手するのは方法として、イマイチなので、アナログVGAモニタへ出力することを最終目標とする。

ハードウェア

PC-6001シリーズのRGB IFは、物理的にはDIN 8PINなので、最低限、これをD-SUB15に形状変更する必要がある。 実際、そういったケーブルもあるようだが、RGBのON/OFFによる8色表示しかできない。

従って、15色表示可能なように、RGBを0-1の他に中間レベルで出力できるハードウェアが必要になる。

更に、モニターが水平回帰15KHzをサポートしていればいいがVGAは31kHzと倍速なので、15kHz非対応の場合にはアップスキャンコンバータも必要になる。

RGB15色対応

TTLロジック版

部品
部品点数メモ
74LS0232入力NORゲートx4
74LS0822入力ANDゲートx4
74LS1251Tri-State Bufferx4
74LS8612入力XORゲートx4 H-Sync/V-Sync混合用。なければNORとANDの空いている回路で代替可能
抵抗100Ω6
電解コンデンサ 100uF 16V3
半固定抵抗(500Ω)6
VGAコネクタ1D-SUB 15pin メス
DIN 8pinプラグ1基板用ソケットがあればそれでも可
8芯ケーブル1
電源用USB Micro Bコネクタ15Vの電源入力が可能なら何でもいい

PIC版

部品
部品点数メモ
PIC16F18271PIC16アーキテクチャ/16GPIO/DIP18ピンなら何でもいい
抵抗100Ω6
電解コンデンサ 100uF 16V3
半固定抵抗(500Ω)6
VGAコネクタ1D-SUB 15pin メス
DIN 8pinプラグ1基板用ソケットがあればそれでも可
8芯ケーブル1
電源用USB Micro Bコネクタ15Vの電源入力が可能なら何でもいい

PIC版とか書いたが、どうもPIC版は動かないかもしれない。 というのも、PICが思ったより遅いから。

15KHzの水平回帰だと、320ドットを描くには、ドット当たり4.8MHzくらい(1/15000/320)で描いていかないと間に合わない。

が、PIC16F1827をフルスピードで動かしても32MHz。 となれば、構成する命令が全部1サイクルで終わるものだとしても、わずか6ステップですべてを終わらせる必要がある。 ま、ポートから値を読んで、テーブル引いて出すとかなら間に合うだろうと思っていた、実は。

が、ここでPIC16のアーキテクチャの罠があったのを今更知った。

なんかするたびに、Wレジスタを経由せざるを得ない。

最初、Cでコード吐かせてみて絶望した。 最適化を-O3とか-Osとか指定してみたが、芳しくなかった。 とりあえず、ごりごり、アセンブラで書いてみた。

loop:
        movlb   0       ; BANK 0に切り替える
        clrf    0x76    ; レジスタ 0x76 をクリアする
        ; HV混合信号を生成する (C = H ^ V ^ 1)
        movlw   8       ; Wレジスタに8 (b00001000)をセットする
        btfsc   12,6    ; RA6が1ならレジスタ0x76にb00001000を設定する
        movwf   0x76
        btfsc   12,7    ; RA7が1ならWをクリアする (W=RA7 ^ 1)
        clrw
        xorwf   0x76,f  ; レジスタ0x76 = W ^ レジスタ0x76
        ; RB - xxxxCBGR で出力する
        movf    12,w    ; W=PORTA & 7 (RGBコードだけ取り出す)
        andlw   7
        iorwf   0x76    ; W=W | レジスタ0x76
        movwf   13      ; PORTB = W
        ; TRISBにハイインピーダンスにするポートを出力する(IN にセットすると出力としてはハイインピーダンスになる)
        movf    12,w    ; W=PORTA & 0x0f
        andlw   15
        addlw   0x20    ; FSR1 に 0x20 + W (0-15に対応する出力値を書いたテーブル)をセット
        movwf   6
        movf    1,w     ; W = INDX1 (W = ds[PORTA & 0x0f])
        movlb   1       ; BANK 1に切り替える
        movwf   13      ; TRISB = W
        goto    loop

頑張って、20命令まで減らせたが、これでも予定より3.5倍くらい多い感じになるので、もうクロックを100MHzくらいにおーばくロックするしかないような気がしている。 多分、このまま実装すると、色が3ドットごとにしか変わらない、PC-8001みたいなことになりそうな気がする。

無念。

そう考えると、TTLロジック速いな。

アップスキャンコンバータ

自作する、というか、上の基板に組み込みたかったのだが、ラインバッファが必要だったり、FPGAで自作している人がいたりと、それなりに大規模になりそうなので、断念。

アマゾンで、GBS 8200 Ver 4.0のボードを見つけ、これを利用することにした。

GBS 8200 Ver 4.0

アップスキャンコンバータであるが、癖が強いので注意が必要。 まず、入力にD-SUB 15pin の口があり、シルクパターンを見るに、RGB + H + Vの信号を受け取りそうだが、先人たちによれば、H-Syncの代わりに、H/V 混合信号が、それとは別にV Syncも必要になるようだ。

実際、製品に添付されていたケーブルは、RGBとS(H/V混合信号)とVのみが結線されており、これら信号を入力してやる必要があるようだ。

実験的に R, G, B, S(H/V混合信号), Vを入力したところうまく表示された。 なお、散見される 3.3V動作だから、信号レベルを調整しないと不安定というのは、誤りであるように思う。 TTL(5V)の信号を直接放り込んだが、特に動作が不安定になることはなかった。