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devterm

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DevTerm

概要

DevTerm は、Clockwork Pi が開発し販売している、小型PCの組み立てキットである。

製品は、部品の状態で届けられ、ユーザ自身が組み立てて完成させる必要がある。

組立には、特殊な工具は必要なく、プラモデルのように、ランナーにつながっている部品を切り離すためのニッパーやカッター、バリを落とすためのカッターややすりといったものがあれば充分である。

コアモジュールをねじ止めするためのねじが付属しているが、ねじ止めは必須ではなく、ほとんどの場合ねじをとめなくても問題はない。

コアモジュールは、Raspberry Pi CM3互換のものが利用可能で、CM3の他、Clockwork Piによって実装された、A04, A06, D1 などのモジュールも存在している。

2022年6月現在、CM4をDevTermに装着するためのアダプターも販売されており、CM4をコアモジュールとして利用することも可能である。

インストール

日本語化

Armbian Jammy (22.05)

フルスピード問題

Armbian 22.05用のカーネルイメージは、A06のプロセッサーを全速力で駆動する設定で起動する。 すなわち、1.8GHz A72x2 + 1.4GHz A53x4 + Mali T864 800MHz での駆動である。 勿論、全速力で利用し続けられれば、大変に素晴らしいのだが、電池は食うわ、何より、あまりの発熱に、大体数分で、過熱によりシャットダウンされてしまう。

幸い、devterm_a06_gearbox は利用可能なので、以下の設定を root の crontab にいれておく。 1)

@reboot /usr/local/sbin/devterm_a06_gearbox -s 3 > /dev/null 2>&1

これで、1.008GHz A53x4 + Mali T864 400MHz の設定で動作を開始する。

標準でサポートされないもの

DevTerm 標準のOSは Armbian 21.04 ベースであるため、2022年5月現在既にサポート外になっている。 DevTerm A06向けに Armbian 22.05 が配布されており、イメージファイルを、microSDカードに焼くことで利用可能となっている。

基本的に、標準のものと大きな違いはなく、デスクトップ版は XFCE4ベースの軽量な環境であり、日本語化も可能である。

ただし、2022年6月現在、配布されているイメージでは以下のものがサポートされていない。

  • 内蔵サーマルプリンター
  • イヤホンを差し込んでもスピーカがオフにならない。(イヤホンとスピーカの両方から音が聞こえる)

日本語化

言語パックの追加

イメージファイルはOEM用のイメージが入っているため、初回起動時に、root のパスワード、デフォルトユーザの設定、タイムゾーン、言語などは設定されるため、日本語を選んでいれば、言語パックは勝手にインストールされているはずである。

万一されてないようであれば、ふつうに apt でインストールすればよい。

$ sudo apt install language-pack-ja
フォントのインストール
fcitx5

日本語入力に関しては、iBusだったり fcitx だったりを利用している例が多く、どれが正解なのかは判然としないので、好みに合わせて選べばいいと思う。

ただし、fcitx に関しては、fcitx5が後継として存在しており、いまさら使用すべきではないだろう。

ここでは fcitx5 を使うことにする。

日本語変換エンジンとしても、様々に存在してはいるが、Mozc が最もポピュラーなのではないかと思うので Mozcを利用する。

以下のようにまずはモジュールを導入する。

$ sudo apt install -y fcitx5 fcitx5-mozc fcitx5-config-qt fcitx5-frontend-gtk2 fcitx5-frontend-gtk3 fcitx5-frontend-gtk4 fcitx5-frontend-qt5

インストールしただけでは、自動起動してくれないので、以下の内容で、~/.config/autostart/fcitx5.desktop を作成しておく。

[Desktop Entry]
Encoding=UTF-8
Version=0.9.4
Type=Application
Name=fcitx5
Comment=
Exec=/usr/bin/fcitx5
RunHook=0
StatusNotify=false
Terminal=false
Hidden=false

一旦セッションをログアウトしてログインしなおせば、fcitx5が起動され、タスクバーにキーボードのアイコンが現れる。 何らかのWindowにフォーカスを持って行って、Ctrl+SPACEを押せば日本語入力に切り替わるはずである。 もし、反応しないクライアントがあった場合は、クライアント用のフロントエンドが入っていないか、クライアント側のバックエンドに不足があるかである。 LibreOffice に関しては、LibreOffice側のバックエンドの問題である。

古の書には、環境変数を設定せよとあるが、おそらく今時は見ていない。 念のため以下のように設定しているが、多分なくても大丈夫。 fcitx5をfcitxとしていても全く機能に違いはなかったし、多分……。

GTK_IM_MODULE=fcitx5 export GTK_IM_MODULE
QT_IM_MODULE=fcitx5 export QT_IM_MODULE
XMODIFIERS=@im=fcitx5 export XMODIFIERS
DefaultIMModule=fcitx5 export DefaultIMModule
LibreOfficeのバックエンド

Armbian のデスクトップ環境には LibreOffice が最初から入っている。 が、バックエンドが不足しているため、fcitx5が反応しない。 GTK3用のバックエンドをインストールすることで fcitx5が反応するようになる。

$ sudo apt install -y libreoffice-gtk3

当然ではあるが、fcitx5-frontend-gtk3 が入っていないとダメである。

サーマルプリンターの有効化

サーマルプリンターモジュールは、DevTerm に標準装備されており、ある種のアイデンティティでもあるので、実用性はさておき、利用できないとなると、何か損をしているような気分にさせられる。

Obsoleted な Armbian 21.04 を使えばプリンターは使えるが、古いOSほど問題の多いものはないので、ここでは何とか Jammyベースで動かすことを考える。

調べていくと、devterm_thermal_printer.elf が /dev/spidev2.0 にアクセスできずに落ちている。 確かに、そんなデバイスドライバーは存在しない。

RISC V環境(D1)

概要

RISC VモジュールはD1コアを使用した、1GBのメモリを持つモジュールである。 GPUは内蔵せず、クロックは1GHzなので、きわめて性能は低い。

そのため、添付されている環境は TWM ベースのごく軽量な環境であるが、日本語化も可能ではある。 Ubuntu をベースとしているようではあるが、apt update && apt upgrade すると、大量に更新がかかり、再起動した時点で全く起動しなくなるので、これはやってはならない操作である。

RISC V環境そのものが整備途上であるため、RISC V環境のテストベッドとして利用するなどの用途に限って利用するべき環境である。

1)
devterm_a06_gearboxは /usr/local/sbin にインストールしてあるものとする。
devterm.1656654513.txt.gz · 最終更新: 2022/07/01 14:48 by araki