Galaxy 5G Mobile Wi-Fi (SCR01)
概要
Galaxy 5G Mobile Wi-Fi(SCR01)は、5G(Sub6)、4G LTE、およびWiMAX2に対応したモバイルルータである。
2022年秋より、WiMAX2に割り当てられている Band41の50MHzの帯域のうち30MHzをNR化5Gに転用開始するため、WiMAX2+の帯域幅が減少することに伴い提供が開始された WiMAX + 5Gプラン向けの唯一1)のモバイルルータ製品である。
対応バンドは Band 1, 3, n78, 41 およびエリアプラスモードで Band 18, 26となっている。
特徴
本体は、5インチ程度のスマホとほぼ同じサイズで、やや厚みのあるボディをしている。 大きくなったボディゆえ、電池容量は5,000mAhあり、WX04などの既存のルータよりかなり大きくなっている。 また、インターフェイスもスマホ的であり、ルータ製品に比べてわかりやすくなっている。
大きな画面を持つため、保護ガラスや、ケースなどをつけて運用する方がよいだろう。
下り最大2.2GBpsを売りにしているが、これは、n78の5G回線に接続した場合の理論値であるようだ。
本機は、電波を以下の4つに分け、いずれかのうち最も電波の強いもののみを利用する。
- Band 1および3 (au 4G LTE)
- Band n78 (au 5G/Sub6)
- Band 41 (WiMAX2)
- Band 18および26 (au 4G LTE/エリアプラスモード時のみ)
キャリアアグリゲーションを行うが、それは、Band 1, 3の間、Band 18, 26の間、および Band 412)でのみ行われる。 W06が行っていたような、複数の電波を混ぜたCAには対応していない。
したがって、現状 WiMAX2+の契約において、WiMAX2を快適に使えていたとしても、そこに Band 1, 3がより強く送信されていたら、WiMAX2は利用されず、au 4G LTEが選択、利用される。
au 4G LTEは空いているときは高速通信が可能だが、混みあってくるとあっという間に速度がでなくなるため、感覚的には WiMAX2よりも速度にむらがあり不安定であることを考慮し、契約を更新する場合には慎重に検討する必要がある。
プランの利点
WiMAX + 5Gのプランは、従来の WiMAX2+ プランに比べて以下のアドバンテージがあり、上記のデメリットを考慮しても乗り換えるのに十分な理由となりえるだろう。
- スタンダードモードにおいて Band 1, 3, n78 を利用できる
- エリアプラスモードにおける月間容量上限が 7GBから 15GBに拡大した
- エリアプラスモードにおける月間容量超過によって速度制限をうけるのがエリアプラスモードのみになり、スタンダードモードを巻き込まなくなった。
- 三日間の容量制限が10GBから15GBに拡大した。速度制限を受ける時間帯については18時~26時で同じ。
- au 5G(Band n78)が利用可能
2022年秋以降 Band41が順次NR化されていくこと、およびNR化5Gのエリアが拡大していくことを考慮すると、既存のルータから乗り換えるのに十分な理由たり得るとは思うが、いずれにしても、au 4G LTEの速度は場所によっては安定的とはいえないので、場合によっては、慌てて乗り換えない方がよいかもしれない。
いずれにしても、よく検討の上、自己責任で判断をすべき案件である。
雑感
一般に、auブランドでのサービスの方に資本を投下しているのであろうから、都市部では、WiMAX2の基地局が目と鼻の先とかいうのでもなければ、おそらくは Band 1/3/n78のいずれかをつかむことになるのであろう。
そういう意味合いにおいて、このルータとサービスの組み合わせは WiMAX主体ではなく、WiMAXも使えるかもしれない au 4G LTEのサービスあるいは au 5Gのサービスといって差し支えないだろう。
Band 3は特に1.7GHzで、WiMAX2よりも建物内部へ通りやすいので、つながるシーンは、明らかに WiMAX2+よりも多くなるだろう。 スタンダードモードの巻き込み事故を起こさなくなったエリアプラスも積極的に使えば、プラチナバンドの800MHzによって、死角は一層少なく成るだろう。
料金プラン等を考えても悪くないサービスの展開と言えなくもないが、ユーザの移行が進めば、今後、au回線への負荷が一層増えることになり、ますます帯域のひっ迫が起こることが予想される。
設備投資に積極的とは思えない auが、どの程度真剣に帯域の増強を図るかにこのサービスの先行きはかかっているといっても過言ではないだろう。
ひょっとすると、WiMAXをひっそりと引退させるために、あえてBand 41をつかみにくいサービスに仕上げてきているのではないかといううがった見方もできるが、そうでないのであれば、早急に Band 41と他の周波数帯とをCAできるルータを投入するべきだろう。 WiMAX2のいいところは比較的回線が安定して空いていることでもある。
すごく速いわけではないが、悪いときでもそこそこの速度が出ていたのが WiMAX2のいいところだったので、Band 41をベースラインとして、au回線の空き具合次第ではさらに上積みが狙えるというのであれば、非常に良いサービスになると思う。
サムソンが技術的にそういったハードを作るのが難しいというのであれば、できるところと組んでやるのがよいのではないか。 とはいえ、ファーウェイは5G関連の開発から締め出されているので、それ以外だとどこができるのか私にはわかりませんが。