目次
owncloud について
概要
owncloudは、WebDAVを基盤としたオレオレクラウドサービスである。 自宅サーバに簡単に導入でき、かつ、ファイルの同期などを簡単に行う事が出来る。
パーソナルなクラウド製品には、アイオーデータのポケドラなどがあるが、クライアントとの同期がサポートされていなかったり、今ひとつ使い勝手が良くなかった。
ただし、owncloudのクライアントアプリのうち、Android / iOSは有償1)であることに注意。 無償のものもあるが、どの程度の機能を持っているのかは不明。 ファイルの交換だけでよければ、WebDAVクライアントを使うことで、利用可能である。
導入
サーバー側
導入には、ウェブサーバ及び、DBサーバ2)が必要になる。
パッケージの導入
サーバ側のパッケージをダウンロードして、適当な場所に展開する。
Debian GNU/Linuxなど、一部デストリビューションではパッケージとして存在しているのでそれを導入しても良い。
ここでは、/var/www に展開することにする。
# cd /var/www # cd tar -jxf ~/downloads/owncloud-9.0.2.tar.bz2
ウェブサーバの設定
展開したら、ウェブサーバからアクセス出来るように設定する。
Alias /owncloud /var/www/owncloud <Directory /var/www/owncloud> AllowOverride All </Directory> <Location /owncloud> Options +FollowSymLinks SSLRequireSSL order allow,deny allow from all </Location>
AllowOverrideディレクティブは Directory に対してしか機能しないので、これだけDirectoryの下で設定している。
SSLRequireSSLを外せば、httpsは必須ではなくなる。 必要に応じて設定する。
DBの設定
多くのディストリビューションで採用され、性能的にも申し分ないであろう、MySQLを使用するものする。
使用するデータベースは owncloud_db で、管理するユーザは ocadmin であるとする。
# mysql -p Password: mysql> create database owncloud_db; ... mysql> create user 'ocadmin'@'localhost' identified by 'password'; ... mysql> grant all on owncloud_db.* to 'ocadmin'@'localhost'; ...
ここで作成したDBと管理ユーザおよびパスワードは、初回アクセス時のページで設定する。
memcache の設定 (任意)
パフォーマンスの観点から、memcacheの有効化が推奨される。 有効化するには APCu (PHP 5.5以降)および、memcached / pecl-memcached が必要になる。
APCu を有効化するには、pecl のサイトから、APCu 4.x のアーカイブを取得して、インストールする必要がある。
$ sudo pecl install apcu-4.0.11.tgz
APCuの最新版は5.xになっており、こちらはphp7-dev 以降のみをサポートしているため、php5.5 などの環境ではアーカイブから直接インストールするのが簡単である。
同様に、memcached についても peclでインストールしておく。
いずれも、phpのiniファイルを追加して有効化する。
apcu.ini
extension=apcu.so apc.enabled=1 apc.shm_size=64M apc.ttl=3600 spc.gc_ttl=3600
mamcached.ini
extension=memcached.so
memcached 本体は、多くのLinuxディストリビューションでパッケージ化されていると思われるので、別途導入し、起動しておく。Vine Linuxの場合は、
$ sudo apt-get install memcached memcached-devel libmemcached libmemcached-devel $ sudo chkconfig memcached on $ sudo service memcached start
としておく。
config.php には以下のように追記しておく。
'memcache.local' => '\OC\Memcache\APCu', 'memcache.distributed' => '\OC\Memcache\Memcached', 'memcached_servers' => array( array('localhost', 11211), ),
ウェブサーバの再起動
ここまで行ったらウェブサーバを再起動する。
クライアント側
Windows
Linux
Android
Android版のクライアントは、新しく撮った写真の自動アップロード機能と、ファイル一覧へのアクセス機能3)とがあり、owncloudを写真のバックアップ先、およびリモートファイルサーバとして利用可能である。
また、ownNoteアプリもあり、これを導入すると、Evernoteの用にowncloudを利用することが出来る。
iOS
設定
https:ウェブサーバ/owncloud/ とブラウザーのアドレスバーに入力しアクセスする。 初回起動時には、管理ユーザの作成及び、DBの設定を聞かれる。 Ver 9ではそもそも日本語対応しているので、はじめから特に設定しないでも日本語で表示されているため迷うところはないだろう。 ===== ownNote ===== ownNoteは、owncloud上に Evernote / OneNoteと似た機能を実現するアプリケーションである。 Evernoteからのimportが可能であり、代替アプリケーションとして利用可能である。 ==== Evernoteからのインポートのための設定 ==== デフォルトでは、ノートの保存はデータベースのみに対して行われるようになっているが、これを、「データベースとフォルダー」に改め、保存先として “Notes”を設定する。 この状態で、Evernote アプリケーションで「個別のHTMLファイル」としてExportした、HTMLファイル及びフォルダー一式を、“Notes”フォルダーにアップロードし4)、ownNoteアプリを起動し、一覧画面に行くと、自動的にインポートが行われる。 インポートされると、HTMLファイルの拡張子は .htm に変更される。 ノートやタグなどの情報は失われるので、グループなどの設定を改めて行う必要はある。 ====== 運用 ====== ===== アップグレード ===== 基本的に、owncloudのサイトで提供されるアーカイブ一式を、既存の環境に上書きして、ブラウザからアクセスすることで自動的にアップグレードが行われる。 その際、アプリケーションなどは、全て無効化されるので、改めて必要なものを有効化する必要がある。 また、不要になったファイルなどがあると、管理画面で警告が出るので、それらを消す作業が必要になる場合がある。 また、データディレクトリに対する Apache2の設定が変更されたりするので、ドキュメントを参照して適宜修正し、セキュアな状態を保つ必要がある。 ====== Tips ====== start